通信制高校とサポート校の違いは?
通信制高校を考えているとき、学校の資料やインターネットの検索ででてくるのが「サポート校」です。
みなさんは通信制高校とサポート校の違いをご存知ですか?通信制高校そして通信制サポート校という学校名から、少し混乱される人もいらっしゃるかもしれません。
名前は似ているものの、この両校は法律的な定義からも全く違うものなのです。今回はそれらの違いを正確に知って、学校選びの際に役立てていただけるよう説明してまいります。
「通信制高校」と「サポート校」の定義
それでは早速、両校の法律的な違いからみてまいります。
通信制高校
高校には、
@全日制高校
A定時制高校
B通信制高校
と3種類があります。
このように通信制高校は、学校教育法によって「高等学校」と定められている学校の1つです。
よって、一定の条件を満たし卒業した場合、「高校卒業資格」を取得することができます。
当然ですが正規職員はもちろん、教職員免許を持って指導にあたっています。
サポート校
サポート校(通信制サポート校)とは、通信制高校に通う生徒が3年間で高校を卒業できるよう支援を行う「民間の教育施設」のことです。
高校とは異なり、勉強またはそれ以外の相談に乗ってくれる「塾」といった存在です。
このようにサポート校は、名前の通り支援を行う学校であるため、サポート校に通うだけでは「高校卒業資格」は得られません。ここはしっかり押さえましょう。
通信制高校の特徴
全日制および定時制と比較すると通信制高校は「自学自習」を基本としており、そこが最大の特徴となっています。
ほとんどの学校が単位制をとっているため、全日制高校のような学年や学級もなければ、「進級」そして「留年」という概念もありません。
ここで通信制高校の特徴をまとめてみましょう。
・自学自習が基本
・単位制
・入学試験は書類選考、作文や面接が一般的
卒業するための条件は下記です。
・3年以上の在籍期間
・74単位を修得する
・最低必要回数の登校をする(スクーリング)
毎日登校する必要がないので時間の融通がきき、様々な人から通信制高校が選ばれています。
例えば働いている人から主婦、スポーツや他の活動を精力的にしている人、病気や不登校の人まで、自由度の高い通信制高校はそれぞれの事情に合った目的によって多くの人に選ばれているのです。
通信制高校へ通う場合に大切なのは意思と目標
自由度の高い通信制高校卒業ですが、だからこそ本人のしっかりとした意思が必要になります。卒業も3年でしなければならないというものではありません。
留年がない通信制高校ですので、74単位を4年間かけて修得し卒業するということもできます。
しかし、しなければならないことを後回しにすることで、学習するモチベーションがどんどん低くなる恐れもあります。
全日制そして定時制には行きたくないという消去法で通信制高校を選ぶ人も中にはいると思いますが、自分の現在の状況、将来どうなりたいのかをじっくり考え、自分にとって一番合う通信制高校へ進むべきでしょう。
自学自習が基本なだけに、卒業も自分次第と言える部分もありますが、そんな通信制高校での生活をバックアップする心強い味方がいます。それが「サポート校」です。
サポート校の特徴
サポート校とは上述の通り、生徒が通信制高校を卒業するためにいろいろな支援を行っています。サポート校へ入学するには、必ず通信制高校とセットで入学することになります。
通信制高校では自学自習を続けていかなければならないため、途中で挫折してしまう、卒業まで5年やそれ以上かかってしまうといったケースも少なくありません。
サポート校は、このような生徒を学習面だけでなく、生活面そして精神面でサポートすることを目的としているのです。
サポート校は大きな駅付近など、交通の便がよい場所にあることが多く、講師やカウンセラーが常駐しています。
通信制高校は登校する機会が少ないですが、サポート校に登校することで学力向上だけでなく、友人作りができたりとモチベーション向上に効果があることがあります。
全国で200校以上あると言われているサポート校ですが、もう少し詳しくご説明しましょう。
サポート校を運営しているのは?
おもに学習塾や予備校、専門学校など教育関連の学校がサポート校を運営しています。それぞれの強みを活かしているからこそ、その内容はサポート校によってだいぶ違います。
サポート校の授業内容は?
サポート校の授業内容には、大きく分けて以下の2つがあります。
@通信制高校を卒業するための学習のサポート
レポート提出、単位認定試験、スクーリングを計画的にこなせるようにし、生徒が卒業できるようにサポートします。
A専門的な分野の勉強
サポート校には、様々な専門分野のコースを設けている学校が多くあります。大学受験に向けてのコース、プログラミングから美容系、スポーツや芸能などなどが多岐に渡ってあり、一部の授業は通信制高校の単位として認定されることもあります。
将来の目的が決まっている人には高校で専門的な技術が習えることは強みになります。
その他、生活面でのサポートがあります。
※日常生活面のサポート
単位の取得支援だけでなく、カウンセラーによる生徒の心理ケアや、高校生活への順応や将来に関する相談など、様々なサポートを受けることができます。
これらのサポートを受けることは、通信制高校を卒業するために非常に有効でしょう。
サポート校の費用は?
基本的に、通信制高校の学費とは別にサポート校の学費も発生します。
サポート校はその目的のために登校することが多いため、その分学費も高めになっています。
学校によって、その学費に違いはありますが、平均的な金額(入学金込みの初年度)は以下の通りです。
・週1回コース 約30万円
・週3回コース 約55万円
・週5回コース 約80万円
サポート校を利用するメリット・デメリット
サポート校を必要とする人、しない人、これは人それぞれとなります。卒業に向けての支援を得られることがサポート校へ通う最大のメリット。
デメリットはズバリ、かかる学費でしょう。
3年間、学習や登校など自分で学生生活を管理できるだろう人にとっては、サポート校は不要でしょう。学力向上そして卒業できるよう通信制高校でベストを尽くし、卒業後の進路でさらなる専門分野に進む道もあります。通信制高校から大学や専門学校へ進むことも可能です。
全日制でも通信制でも高校卒業の資格、そして合格への条件は全く同じものです。どれだけ勉強したかにかかっているのです。
その反面、継続の難しさから通信制高校へ入学したことを後悔したり、卒業への意欲が続かない人もいます。
このような人にとってはサポート校による学習や生活面のサポートを得ることで卒業を可能にしたり、自分に合った専門分野に関わることで自分の生活を生き生きとしたものにすることができる可能性もあるかもしれません。
メインとなる通信制高校で就学支援金が請求できるのなら、その分サポート校の負担が減るという考え方もできるでしょう。
まとめ
通信制高校は学校教育法によって「高等学校」と定められている
- 一定の条件を満たし通信制高校を卒業した場合、高校卒業資格を取得することができる
- サポート校(通信制サポート校)とは、通信制高校に通う生徒を支援する民間の教育施設
- サポート校に通うだけでは「高校卒業資格」は得られない
- サポート校は必ず通信制高校とセットで入学する
- サポート校を利用するかしないかは状況・意思を確認して判断する
「通信制高校」と「サポート校」の違いについて説明をしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
通信制高校だけで学習・卒業に向けて頑張れるのか、サポート校を上手に利用していくのか、学校選びの際は本人が頭を整理し希望を伝え、家族全員で納得いく判断をすることが大切です。
高校生活を楽しみながらも、学習を継続できるベストの方法を選ぶことが卒業へ繋がります。