通信制高校の学費はどれくらい?

 

学校選びの際、ご家庭にとって重要なポイントになるのが学費ではないでしょうか。

 

全日制と同様、通信制高校にも公立と私立の2種類があり、その学費の違いに大きな差があります。
今回は通信制高校にかかる学費についてまとめてみましょう。

 

学校選びをされているご家庭の参考になれば幸いです。

 

 

公立と私立の学費を比べてみよう

まずは通信制高校の公立と私立の比較をします。
文部科学省の学校基本調査(平成27年度)によると、公立校92校、私立校178校と、私立が圧倒的に多いのが現状です。
その生徒数は公立校8,844人、私立校42,653人、生徒数でも私立が公立の5倍以上となっています。

 

そして公立・私立の最も大きな違いは、どの運営団体によるかになります。
公立校が地方自治体が、そして私立校は団体または個人が出資し、運営しています。
結果、その学費にも大きな差がでてくるのです。

 

ほとんどの通信制高校は単位制を採用しています。
1単位にかかる平均的な学費を比べてみましょう。
公立校 300円程度
私立校 5,000円前後

 

このように公立と私立では学費に大きな差があります。
また、私立はその運営団体によっても学費が違ってくるのも事実です。

 

学費に差がでる理由

なぜ、学費に差がでるのかみていきましょう。
それには大きく3つの理由があります。

@公立と私立のように運営する団体の違い
A学校設備の違い
B生徒1人に対する支援体制の違い

 

公立と私立で大きく違う学費。
そして、私立の中でも学校によっての学費の差がかなりあります。

 

安いといえば公立校。その学費とこれからの課題

安いといえば、群を抜いて公立です。
公立の入学金は500円、1単位当たりは300円程度。
通信制高校の卒業に必要な単位数は74単位ですので、
300円×74=22,200円、

 

これに授業以外に必要な諸経費が加わり、公立通信制高校の年間学費は約30,000円程度、3年間を考えると約100,000円程度で卒業できるということになります。

 

運営する地方自治体によって学費に多少の違いはありますが、公立の場合は負担がかなり軽いということが一番のメリットでしょう。

 

学費が最大の魅力である反面、公立校の課題もあります。
一番の課題は生徒へのサポート体制。
配置される教職員数は法律によって定められています。生徒数が600人以下の場合、生徒が46.2人に対して教員1人。1,201人以上で、生徒100人に対して教員1人です。

 

全日制と比べると生徒20人に対して教員1人ですので、生徒数にかなりの開きがあるのが一目瞭然です。
このように、生徒1人当たりの教員数が圧倒的に少ないため、生徒1人1人に対してきめ細かな指導そしてフォローがあまり期待できません。

 

卒業したいという意思が強く、自宅等での学習をコツコツと計画的に行える場合は良いですが、それが難しい場合、学習意欲を失うケースもあり、卒業率の低さに表れているのが実情です。
公立の通信制高校を選ぶ場合は、自分で学ぶ意欲をどう維持することがいかに大事かになってきます。

 

加えて上述の通り、公立は全国で92校(平成27年度)です。
自宅から通える範囲に公立があれば良いですが、無い場合は学費が魅力的でも難しい場合があるでしょう。
公立の場合、実際に登校するスクーリングは週1回です。
3年間、無理なく通える学校を選ぶ際、公立が自宅からの通学に便利な場所にあるという保証がないのです。

 

 

私立でも学費はいろいろ

私立の通信制高校は多くあり、その学校によって、また選ぶコースによって学費も様々です。
学費に差がでる理由は、通い方の種類が様々あり、取得する単位数が自由だからです。

 

基本的に、自宅学習がメインであれば学費を安く抑えることができ、通学コースやオプションコースなど登校日数が多いものを選べば学費も上がっていきます。
全日制のように週5日通う通学コースを設けている学校もあり、そうなるとやはり学費は高くなります。
私立の通信制高校の相場は40万円前後と言われています。高い学校では年間100万円を超える学費がかかるところもあります。

 

ここで最低かかる学費をみてみましょう。

・入学金 2〜5万円
・授業料 19万円〜(年間)
・諸経費 3万円程度(年間)

 

重要なポイントですが、私立の場合、学費だけをみて高いと判断することは間違いです。
その理由は、1人1人の徹底したサポートがあったり、専門課程を学べる機会があったりするからです。

 

大きな目標があってやりたいことがはっきりしている場合には、このような私立校が多いに魅力あるものとなるでしょう。
もちろん、専門性は不要で高校卒業だけを目標にしている人は、そのようなコースを選ぶことができます。

 

選ぶコースで違う学費

通信制高校には様々なコースが設けられています。
すべてを基本、ネットで学習するネットコースや通学コースには週1日から通うものから毎日通うコースまで様々です。
通信制高校の学費は登校日数が多ければ多いほど高くなっていきますので、一番安いものがネットコース、そして一番高いものが週5日通う通学コースということになります。

 

通学コースには、大学受験を目指す大学受験講座、プログラミングや各種専門職を学べるコースなど多様であり、その学費も違ってきます。
例えば、専門分野を学ぶコースを選んだ場合、通常の学費に加えて15〜30万円ほどかかるという感じです。

 

学費の安い私立校3校(2017年度)

私立校の中で比較的学費の安い学校3校をご紹介しましょう。
3校とも、日本全国で入学可能です。もちろん全校、大阪から通えるようになっています。

 

 

鹿島学園高等学校

・年間学費の目安:190,000円
最も安い私立です。それぞれのオプションコースも他校と比べてリーズナブルです。
学費の安さも手伝って、毎年入学希望者が多く早めの対応が必要となります。
※教科書代などは含まれておりませんのでご注意ください。

 

鹿島学園高等学校の詳細はこちら

 

N高等学校

・年間学費の目安:250,000円
スクーリングを最低4泊5日の設定にし、学費を抑えられました。
学費が安いだけでなく、運営する角川ドワンゴらしい最新IT技術を使ったネット時代の新しい高校として人気校となっています。

 

N高等学校の詳細はこちら

 

ヒューマンキャンパス高等学校

・年間学費の目安:290,000円
専門課程は大変多く、20分野70職種以上ものコースが用意されています。やりたいことがある人には大変向いている学校と言えます。

 

ヒューマンキャンパス高等学校の詳細はこちら

 

学費の高い私立校

私立校の中でも学費の高い学校は、トライ式高等学院、KTC中央高等学院、市進ウイング高等学院などなどあり、通信コースでも年間100万円前後かかります。
この金額にはサポート校の費用が含まれています。

 

サポート校とは、通信制高校に通う生徒が3年間で卒業ができるように、単位取得などのサポートを行う民間の教育施設のことを言います。
学習塾、予備校・専門学校など教育関連が持つノウハウを活かしてサポートします。

 

このようにサポート校があること、サポート体制によって高校生活を途中で挫折しないよう、また_3年以上かけずに卒業できることが、学費が高い私立へ通うメリットでしょう。

 

学費を安くできる”就学支援金”

最後に、学費が免除される「就学支援金」のシステムをご紹介しましょう。

 

就学支援金とは、文部科学省の制度であり、低所得者世帯でも経済状況にかかわらず、希望に沿った進路選択ができるようにと平成26年度に作られました。
就学支援金は通信制高校、公立・私立とも対象となります。

 

就学支援金を受ける条件

@保護者の年収が910万円未満である
A日本国内に住所がある
B国が指定した学校に制度が認められる

これらの条件を満たしている場合、通信制高校を通して申し込みをすることができます。

 

通信制高校生徒への支給額

@公立校 520円(月額)
A私立校 9,900円(月額)

 

就学支援金は、通信制高校の場合、最長で原則4年間支給されます。
制度は使うためにあります。対象である人はどんどん利用されたらいかがでしょう。
行きたい学校が私立であればなおさらです。就学支援金も考えた上で学費を考えてみてください。

 

通信制高校の学費についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
学費については各校で本当に大きな違いがありますが、学費がいくらということだけでなく、その学校、そして行きたいコースをじっくり考えた上で学校選びをすることをお勧めします。