通信制高校への転入・編入

通信制高校を検討されている方の中には、これから高校生になる人だけでなく、既に別の高校(全日制等)に通っている人も少なくないと思います。
転入や編入といった手段で通信制高校への入学を希望している場合、どのような手続きが必要となるのでしょうか。
また、これまでの高校での履修内容を引き継ぐことはできるのでしょうか。

転入と編入の違い

まず、「転入」と「編入」の違いから説明をしたいと思います。

転入

転入とは、いわゆる「転校」と近いニュアンスになります。
何らかの理由があり、現在通っている高校から別の高校にそのまま入学することです。
自分の将来の目標のために時間が必要だったという方もいますが、全日制の高校で不登校になってしまった学生や、授業の難易度や進め方が合わなかった学生なども通信制高校への転入をします。

 

編入

編入は、既に高校を中退した人が、別の高校に入学しなおすことを指します。
高校を中退したまま就職した人や、中退後フリーターを続けている人などが、再度高校入学をする場合に当てはまります。

 

 

なお、以前行われたアンケート調査では、通信制高校に入学するまでの状況について、回答が以下となっています。

 

・中学卒業後すぐに通信制高校に入学した … 20名
・全日制高校に在籍していた … 17名
・定時制高校に在籍していた … 4名
(回答者全52名中)

 

※文部科学省「通信制高校の第三者評価制度構築に関する調査研究最終報告書(山梨大学)」を参照

 

上記のデータは局所的なものとなっているため、通信制高校全体の状況を表すものではありませんが、中学卒業後にそのまま通信制高校に入学した人に対して、少なくない割合の人が転入や編入で通信制高校に入ってきている傾向があることは言えるでしょう。

 

前の学校で取得した単位の扱い

転入や編入の場合、現在の学校で取得した単位の扱いが気になるところですが、既に取得できている単位に関しては基本的に前学年までに修得した単位を引き継ぐことができます
参考までに、転入や編入時の単位数によって入学時の学年が下記のように異なるケースがあります。

 

・〜5単位 … 1年次から
・6〜39単位 … 2年次から
・40単位〜 … 3年次から

 

転入先、編入先の通信制高校で、1年のうちに何単位を取得できるかということが関わっていることが多いので、既に取得している単位数を確認のうえで、希望の通信制高校のシステムを確認するのが良いでしょう。

 

また、大事なところとして、年次の途中で中退し、単位の取得ができていない場合などは、通信制高校でも該当の科目を初めから再履修しなければならなくなります。
その結果、卒業年度が遅くなることもありますため、事前に確認をしておくことが必要です。

 

入学時期はいつ頃か

転入と編入が可能な時期については、学校ごとの出願期間によって異なります。
一例として、下記のようになっているところがあります。

 

・転入学 … 随時受付可能
・編入学 … 年4回(4月、7月、10月、1月)

 

編入は新規入学と同じ時期となっているところが多いようですが、転入については多くの学校で随時受け付けています。
転入の場合は在籍日数も引き継ぐことができたりすることもあり、卒業のタイミングを同年代の人と同じにできる可能性が高いため、現在も高校に在籍をしているのであれば、編入より転入を行うことをおすすめします。
なお、3年生の後期などの場合は、通信制高校での単位取得が間に合わずに、卒業のタイミングが先送りになることも考えられますので、転入前に卒業のタイミングについて確認をしておいた方が良いでしょう。

 

転入や編入の手続きと必要書類

実際に転入や編入を行う際には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
必要書類と併せて確認をしていきましょう。

 

(1)資料請求等

まずは検討している学校の情報を集め、希望校を決めましょう。
資料請求で目星を付けたら、実際に学校説明会や学校見学会への参加を行います。
学校の雰囲気や校内イベント等の有無、コース詳細の確認や費用面など、疑問点はこの段階でクリアにしておくと良いでしょう。

 

(2)願書取り寄せ

転入、編入希望の学校が見つかったら、願書を取り寄せます。
N高等学校など、Web出願のみを受け付けている学校の場合は、Webから出願を行えますので、願書の取り寄せが不要です。
資料請求でもらえる学校や、学校説明会の際などに渡している学校もあります。

 

(3)願書ならびにその他書類提出、選抜料支払い

願書作成ができたら提出をします。
郵送での提出や、学校へ直接持参することが可能だったりします。
前述のWeb出願の場合は、インターネット上でそのまま提出が可能です。

 

また、その他の必要書類に関しても、既定のタイミングで提出を行います。

 

例として、下記のようなものが必要となることが多いです。

 

<転入の場合>
・転学照会状(「生徒の転入学について(照会)」のような名前のことも多い)
・在学証明書
・成績証明書と単位修得証明書

 

<編入の場合>
・在籍証明書
・成績証明書と単位修得証明書

 

これまで在籍していた高校に発行をしてもらう必要がある書類に関しては、早めの準備をしておいた方が良いでしょう。

 

また、選抜料(受験料、入学検定料)の納入も行う必要があります。
振込後の控えを出願の必要書類としている高校も多いので、その場合は他の必要書類と同時に提出する必要があります。
Web出願の場合などは、クレジットカードやコンビニでの決済が可能なケースもあります。

 

(4)入試

通信制高校に転入や編入を行う際の審査は、書類審査や面接、作文で行われるケースが多いようです。
現在の状況や志望理由、「これからこの学校でどんなことをやっていきたいか」などを聞くことを重視している学校が多いので、答えられるように準備をしておくと良いでしょう。

 

なお、学力試験が行われることは多くはないですが、学校によっては設けているところもありますので、出願前に確認をしておいてください。

 

例として、N高等学校の通学コースでは、書類選考と面接、そして作文で選抜が行われます。
一ッ葉高校の場合も、転編入の選考は面接及び作文評価となっています。

 

(5)合否確認

合否結果は選考結果通知などで知らされたりしますが、転編入先の高校に確認をしておいてください。
基本的には入学手続きや学費の入金に関する案内も別途行われます。
学費の入金などは期日内に済ませるようにしましょう。

 

転入や編入にかかる費用

授業料は別として、転入や編入の際にかかるお金があります。
まず、出願の際に選抜料を払い込む必要があります。
一ッ葉高校は10,000円、ヒューマンキャンパス高等学校は15,000円、ルネサンス高等学校は10,000円となっていましたので、参考にしてみてください。

 

その他、出願のために必要な諸費用としては下記のようなものがあります。

 

・証明写真代
・振込手数料
・願書郵送料

 

ネット出願などで減らせる費用もありますので、可能であればネットからの出願が良いでしょう。

 

また、合格後に支払いをする費用の例としては入学金や施設設備費、教育関連諸費、スクーリング費などがありますが、年次の途中からの転編入の場合、施設設備費は割引になる学校もあります。

 

まとめ

通信制高校に入学を希望する際、その時点で別の高校に通っているのであれば「転入」、別の高校を中退などしている場合は「編入」の手続きを行うことになります。
入学時期や必要書類が転入と編入で異なっているので、どちらに当てはまるのかを確認したうえで手続きや書類の準備を進めていくことが必要です。

 

単位はほとんどの場合で引き継げますが、年次の途中の中退などで取得できていない単位に関しては原則引き継ぐことはできません。
卒業のタイミングがずれることも十分考えられますので、取得済みの単位数や入学時期は特に注意して事前確認をしておいた方が良いでしょう。